寄与分について

複数の相続人の中に、被相続人の財産を増やし、または減少することを防ぐために貢献した相続人がいる場合、法定相続分のとおりに遺産分割を行うと不公平が生じます。

そこで、このような財産的貢献を加味した遺産分割を行うために、寄与分の制度があります。

民法904条の2は、「共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるとき」に寄与分を認めています。

つまり、労務提供、財産給付、療養看護が寄与分の典型例といえます。

 

寄与分が認められる場合

寄与分が認められるためには、

①特別な貢献であること

②現実に財産の維持・増加があること

③無償でされたこと

が必要であると考えられています。

まず、①特別の貢献については、通常期待される程度を超える貢献であることが必要です。

たとえば、相続人が被相続人の事業の手伝いをしていた場合や、高齢になった被相続人の生活の面倒をみていた場合でも、それが夫婦間の協力義務や親子間の扶養義務の範囲内であれば、労務提供や療養看護の寄与分は認められません。

大阪家裁平成19年2月8日審判は、被相続人の子が、認知症の被相続人を介護した事案について、常時の見守りが必要となった3年間の介護について療養看護の寄与分を認めましたが、それ以前の認知症が軽度であった期間については親族間の扶養義務の範囲内であるとして寄与分を認めませんでした。

また、②財産の維持・増加の方法としては、被相続人の不動産の購入代金、借金の返済資金、医療費などを負担した場合(財産給付)だけでなく、被相続人の事業に従事して売上に貢献した場合(労務提供)や、相続人自ら被相続人の介護をして支出を回避した場合(療養看護)があります。

たとえば、高松高裁平成8年10月4日決定は、被相続人自身や被相続人が個人経営していた会社に対して多額の資金援助をした事案について、寄与分を認めました。

これに対して、病院に長期間入院している被相続人を何度も訪れ、見舞った場合であったとしても、精神的な支えとなったというだけでは、療養看護の寄与分は認められません。

さらに、③無償でされたことついては、相続人が、被相続人から受けた対価が全くない、または極めて少ないことが必要です。

たとえば、被相続人の家業を手伝う見返りとして賃金を支払われていた場合や、被相続人を介護していた一方で被相続人から生前贈与を受けていた場合には、賃金や贈与の金額によっては、寄与分が認めらないことがあります。

療養看護の寄与分が問題になった大阪家裁平成19年2月26日審判においては、介護をしていた相続人に対して相続人が毎月10万円を贈与していた事実から、他の相続人が介護が有償であるため寄与分は認められないとの主張がされました。この点について、裁判所は、他の相続人も被相続人から小遣いを受け取っていたことや、贈与が相続人の食費など一般的な家計費に充てられていたことから、報酬としての側面は強くないとして寄与分を認めました(もっとも、寄与分の金銭評価において、贈与をマイナス要素として考慮しました。)。

寄与分を決定する方法

遺産分割協議の段階では、相続人が話し合いで遺産をどのように分けるかを決めることができるため、寄与分についても自由に合意することができます。

つまり、各相続人が、一部の相続人の寄与分を加味して、その相続人が多く遺産を取得するような遺産分割協議を成立させることは、何ら問題ありません。

相続人の間で協議がまとまらない場合には、家庭裁判所の調停・審判の手続によることになります。

寄与分がある場合の計算方法

寄与分がある場合、被相続人の財産から寄与分を差し引いた「みなし相続財産」をベースとして、各相続人の法定相続分を算定します。さらに、寄与分がある相続人については、この相続分に寄与分を加えたものが実際の相続分となります。

具体的な計算は、【相続コラム4「特別受益・寄与分の計算方法」】をご参照ください。